描かずもがな

studio siwun blog

立尾美寿紀展「花の象」

好きな日本画家は?と聞かれて、パッと答えるのは 

伊藤若冲

福田平八郎

そして立尾美寿紀、である。

 

 

同世代の作家の名前を挙げるのはめずらしいけれど、たくさんの好きな巨匠の作品と並び超えるくらいに、私にとって、立尾さんの作品との出会いは衝撃でした。

立尾さんは、多摩美日本画科時代、ひとつ上の学年の先輩。

 

そんな立尾さんの、大きな展覧会があるというので、張り切って見に行きました。

ycag.yafjp.org

 

いやあ、心が踊りました・・

私が好きな世界観なのです。再認識しました。

 

この鮮やかな発色、この線の選び、

こういうのが、他の誰にもできないこの人の感性なんだな・・っていう。

一瞬で思い出す不思議。

 

花弁を民衆になぞらえる感覚とかもツボ。

狂気的な描写でありながら、どこか理論派的なクールさを感じる絵肌もツボ。

 

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そして、地下展示室には7m超えの超大作が。

作品が大きくなった分、細密に描かれた部分と潔く抽象化された部分との差も広がって、ダイナミクスの広がりを感じる。解像度が混在している感じ。これこそが絵画の醍醐味といえるかも。

 

そして一つのテーマを追求するために、例えば花を育てるところからはじめて、観察を繰り返し、『解体 → 考察・感覚 → 再構築』の手順で作品を生み出しているとのこと。

(展覧会のキャプションより)

 

「何かの目的とかゴールのためにやっているのではなく、ただ追求したい思いでやっている。これからも・・・」

という立尾さんの言葉に、ハッとさせられました。

 

想像していた数倍の規模での個展、作品の熱量でした。

ありがとうございました!